ご挨拶 「変わる掛川東、変わらない掛川東」
本年創立113年を迎える静岡県立掛川東高等学校は、校訓「清く、明るく、正しく、強く」のもと、時代の変化に柔軟に対応しながら、生徒一人ひとりを大切にするという教育理念を守り続けています。
本校は大正2年、掛川町立掛川実科高等女学校として創立され、大正12年、町から県の高校に移管され静岡県立掛川高等女学校となりました。その後学制改革などにより、昭和24年、現在の「掛川東高等学校」の名称となり、あわせて定時制の課程も設置されました。定時制の課程は昭和58年まで続きます。昭和41年、普通科に衛生看護科を併設、衛生看護科は旧校舎が閉じられるまで続きました。平成9年に男女共学となり、平成16年、桔梗が丘校舎から現在の校舎に移転しました。
現在の校舎の雰囲気について、本校を訪れた方から次のようなお言葉をいただきました。
「京都の趣を感じる町を『小京都』と呼ぶことがありますが、その言い方にならって言えば、この学校の雰囲気は『小大学』ですね。大学のキャンパスのような感じがします」。
本校の校舎配置は、扇を広げたような形をしています。扇の中心部分を左手にもって、扇の骨の部分を水平にし、まず扇を60度ほど広げた形をイメージしてください。普通教室は扇の骨の部分に配置されており、中心から順に1組、2組…と並んでいます。扇の弧の部分には芸術や理科、情報の特別教室や自由に活用できる学習スペースがあります。また扇の弧と中心をつなぐのは長さ50メートル、幅2メートルの回廊です。この回廊によって生徒たちは校内を自由に行き来できます。扇をさらに90度近くまで広げると、扇の弧の部分に図書館、生徒ホールが加わります。また回廊をさらに直進すると体育館があります。体育館は一階に多目的ホール、二階にアリーナを備えています。体育館の横には弓道場があり、その先には広いグラウンドがあります。
その他の施設として、50メートルプールは正門から入って右手に、オムニコート4面のテニス場は左手にあります。また正門内にバス停があり、駅から学校まで直通のバスが運行されていて、とても便利です。
本校の生徒に身につけてほしい力は「自律と自立の力」です。校舎の移転を機に、生徒の選択肢が広がる「単位制」を導入し、さらに「ノーチャイム制」や「一足制」を採用しました。大学のようにチャイムはなく、上履きに履き替える必要もなく、そのまま教室に入れます。自由な雰囲気で、自ら考え、自ら選ぶ機会がたくさんある、まさに小さな大学のような高校です。令和4年には制服が変更され、生徒が自分のスタイルを選ぶことができるようになりました。
掛東(かけとう)では学習だけでなく、部活動や学校行事にも力を注ぐ生徒たちがたくさんいます。また特に3年前より探究学習に力を入れる生徒が増えてきました。探究学習とは教科書の答をなぞるのではなく、社会の課題に気付き、問いを立て、考え、行動する力を身につける学習です。例えば先輩の中には町のバリア(障壁)に気付き、そのことをきっかけにバリアフリーの社会の実現をめざすイベントを開催した生徒がいます、アレルギーを持つ子どもがパンを安心して食べることができるように米粉パンを作った生徒がいます、また食品ロスの問題意識から干芋ジャムを開発し販売した生徒がいます。
掛東は時代の変化に対応し、これからも「変わる」学校であり続けます。しかしまた校訓「清く、明るく、正しく、強く」のもと、生徒一人ひとりを大切にする教育の根幹は揺らぐことなく、「変わらない」学校でもあります。
今後とも、掛川東高等学校をどうぞよろしくお願いいたします。
令和7年4月 校長 邑田聡一